【どっこい合衆国】(上)危機乗り越える底力…人材が集まる風土、変化への柔軟性 (2/4ページ) - MSN産経ニュース
「米国には危機をチャンスに変えて克服してきた歴史がある」
百年に一度の金融危機というが、アメリカの大学院で組織の危機について学んでいたとき、教授が一枚の便箋に書かれた「危機」という漢字を示しながら、”Crisis is a combination of danger and opportunity"と学生に説明した。悲観論一色の日本に居ると、今の状況を、前例のない出来事として右往左往しているが、本当に百年に一度の危機なのだろうか?日本は、太平洋戦争で敗戦した時、焦土の中から立ち直った。そのときの状況に比べれば、今のほうが圧倒的に豊かで安定した金融システムと、信頼できる通貨システムを保持している。その後、朝鮮戦争後の不況、オイルショック、バブル崩壊それから、90年代半ばのITバブル崩壊など、大小さまざまな経済危機を経験している。本当に百年に一度なら、大規模な金融危機を何度も経験するはずはないのでは。まして、終戦後の混乱をたった60年やそこら前に経験したのであるから、百年に一度の経済危機は何度もやってくるのか、と疑問を持つのである。
アメリカに目をやると、上のような厳しい世界経済の状況でも、ビジネスチャンスと考えて新しいビジネスに乗り出す人も多い。私の在米中近所の失業した元公務員の親父が、自嘲気味に「コンサルタントっていうのは、アメリカでは失業した専門職さ」と言っていたのが、思い出される。とはいえ、彼らのなかからビジネスを立ち上げ、安定した生活をしている人も多く現れた。また、そういう人たちの多くが、人生で何度目かの失業・解雇だったりするのだ。
私は、今の日本が悲観論一色であることを、全面的に否定はしない。でも、少なからぬ企業や個人の中には、今を千載一遇のチャンスとして、自分本来のビジネスを拡充している人も居るはずだと思う。あの、トヨタの赤字決算だって、実は来期以降のV字回復を狙って今から不良資産の切り離しや、好況時に処理できなかった、様々な問題(不要な人材を含む)を一括処理しようとしているのではないかと疑っている。減損会計といっても、売却して初めて損失が計上されるのでバランスシート上は資産が目減りして信用が収縮する恐れがあるとしても、それはあくまでも紙の上での話。円高といっても、輸出の売り上げを全て日本国内に円にして戻すわけではないのだから、これも紙の上の損失にしか過ぎない。まして、来年後半以降は少しづつ立ち直ると予想するエコノミストも多いのだから、かつての日産がそうだったように、V字回復を果たす可能性が高いと思う。まして、創業家から社長を迎えたのだから、「岡崎の殿様」の旗頭のもとに糾合するといった古典的なリーダーシップを発揮するためのシナリオとして、仕組まれたV字回復を今から準備しているというのは考えすぎだろうか?

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